スマートなレンタル プロジェクター
というわけで、時事的なネタでベストセラーを狙ったような本ほど一年ぐらい寝かせてから読んだほうがおいしいわけだが、原宿のブックオフはこの手のピンテージもののビジネス書がいちばん充実している。
ブックオフは各店m独自に買い取った本を棚に並べているので、それだけ昔からビジネス書を読んできた人口が多い街だということだ。
なぜ、ややくたびれの見えはじめた高級感を売りものとする表参道と、小中学生のための常設パザールと化した竹下通りの真ん中に、自立した若い男の子たちの溜まり場に加えて、大人のオフィスワーカーが生息するビジネス街までもが成立したのだろうか?このへんは立地の良さに動物的な勘が働く、一癖も二癖もある業者社長たちが昔から着々と拠点を構えていた場所だからだろう。
「裏原宿」には、アドヴアンという会社がある。
石材とかタイルという、ほかの会社がやれば成熟・斜陽産業としか思えないような商品の輸入卸売り業で安定してとんでもなく高い利益率を確保している建材商社だ。
商社で四パーセント台の粗利益率というのがいかに驚異的な高収益だということは、ちょっとでも企業の財務分析をかじったことのある人ならすぐ分かっていただけるだろう。
この会社は「都市再生」キャンペーンの隠れた本といつでもいいかもしれない。
とにかく、東京ディズニーリゾートに併設された高級ショッピングモール、イクスピアリから、臨海副都心、汐留、幕張にできたフランス最大のスーパー、か。
フールの日本一号居、はては大阪のユニバーサル・スタジオ・ジャパンに至るまで、歩道に天然石の敷石やタイルを敷き詰める大型プロジェクトで、アドヴアンが絡んでいないプロジェクトはないというくらい大規模再開発事業での採用率の高い会社なのだ。
とにかく、この会社の強みはタイルのような、もうだれが見ても成熟商品で大きく売り上げを伸ばすなんてことは不可能と思っていた商品で、飛躍的な需要拡大に成してしまうことだ。
では、アドヴアンはどうやってタイルという成熟商品の需要を急拡大させたか?話は簡単。
「縦のものを横にした」だけなのだ。
従来日本では、タイルは風目場や台所の壁に貼る以外にはあまり用途のない建材だった。
そこで、アドヴアンが「歩道に敷き詰めることもできますよ」と提案してみた。
いまはまだ、日本中の歩道の大部分が味も素っ気もないアスファルト舗装のままになっている。
これが、一九六0年代末から七0年代初めにかけて隆盛を極めた新左翼系学生運動の本当に数少ない歴史的遺産のひとつだということだ。
また、同時に同エリアに来訪する若者がどのエリアから来ているのか、どのぐらいフ7 ツションにお金を使っているのか等の、裏原宿ファッションの若者の実像を調査した。
を覚えている人も少なくなってしまった。
そう、六0年代半ばまでは、日本中の歩道には二五センチ角ぐらいの薄い正方形のコンクリート板が敷き詰めてあった。
しかし、このコンクリート板はこぶし大に割ると、ちょうど学生たちが機動隊に投げつける石として格好の武器になった。
だから、六0年代末から七0年代初めにかけて、文字通りあっと言う聞に日本全国津々浦々でアスファルト舗装に切り替えられてしまったのだ。
景観的にもぱっとしない灰褐色のアスファルト舗装でごまかしてきた歩道を華やかな色とパターンで目を楽しませてくれるタイルを敷き詰めた歩道にしたら、もともと歩行者文化、雑踏の社会主義が発達していた日本では、思いもかけないほど人が街を歩く回数が増え、内需回復にも貢献するかもしれない。
そして、決め手はセコムの新本社ピルが東郷神社のすぐ隣に建ったことだろう。
セコムは有名企業なのでここであらためて紹介する必要もないはずだ。
やはり情報サービス産業の立地として、この界隈がいかに将来性のある場所かということを示している。
そうやって見てみると、最近この界隈に進出した話題の店も、いわゆる原宿風なガキ狙いとは明らかに戦略の違う店が多い。
たとえば、明治通りと表参道の交差点の世界一注目度の高いコイン駐車場だったところに最近、日本でのフラッグシツプピルを建てた「ギャップ」だ。
たしかに子供服の売上比率の高い店だが、コストパフォーマンスを考えたおとなが子供に着せる子供服を揃えている。
おとなが着せたい子供服なんて、ちょっと前までは「古い」の一言ではねつけられていた線だ。
そして、ギャップから明治通り沿いにちょっと原宿駅寄りに行ったところには、「セフォーラ」という化粧品のスーパーが出店している。
デパート一階ではキャッチセールスのような商売をしているブランド化粧品を、ここではずらっと棚に陳列するだけで、店員は客に聞かれれば答えるけど押し売りはしないというコンセプトで、フランスで大成している店だ。
これも、狙いは明らかに自分の欲しいものが分かっているおとなの消費者だ。
とにかく、原宿はガキだけに占領させておくのはもったいない街になりはじめた。
世の中にはうまいことをいう人がいるもので、昭和の東京の歴史を「幌馬車なき西部開拓史」と言つてのけた人がいる。
たしかに、大正も末年に近い一九二三年に起きた関東大震災をきっかけに、東京のオフィスピルの一等地が日本橋から丸の内に移った。
そして、田園調布の分譲地が売れはじめ、当時の東京商科大学、いまの一橋大学が西武グループの始者、堤康次郎の熱心な勧誘に根負けして国立にキャンパスを移した。
その後約八0年間というもの、東京中の住宅が、店舗が、そして大企業の本社までもが、西へ西へと移動していった。
なぜ、こんなにはっきりとありとあらゆるものが西へ、西へと移動していったのだろうか?意外に大勢の人が、「東京は開発が進んでいた二三区が束の端にあって、残り一分の二以上の開発の遅れた土地は二三区より西側の三多摩地区にある。
だから、東京が発展を続けようとすれば、あまり開発の進んでいなかった三多摩地方以外に行くところはなかったのだ」と思っている。
同つまり、「地形的に東京都は西へしか延びようのない形をしているのだから、東京が西へ延びるのは当たり前で、不思議でもなんでもない」というわけだ。
「東京都の地理を見れば、発展する方角は西以外にはなかった」という説は間違っている。
一人八九年(明治二二年)までの東京府は、いまの千代田、中央、港、文京、台東、墨田、江東の七区に新宿区の一部で一五区からなる都心に、いまの二三区のうち残りの部分がまわりを郊外として取り囲む格好をしていた。
だからこの時期には、東京は西にも東にも北にも発展していく可能性があったわけだ。
南だけは、東京がこれ以上南に移動したら東京湾に落っこちてしまうが。
そして、一八九三年に東京府は、神奈川県から三多摩地方の割譲を受ける。
表面的な理由は、多摩川水系の水が欲しかった東京府と、人王子あたりで勢力の強かった自由民権運動を持て余していた神奈川県の利害が一致したからだ。
しかし、この一人九三年という年は、山手線の西側半分の開通から四年後で、新宿・立川聞に甲武鉄道(のちの中央線)ができた年でもある。
これは偶然の一致だろうか?そんなはずはない。
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